信号の最大値を一定時間保持するピーク・ホールド回路の工夫


図2は,上段から(a)の波形,(b)の波形,(c)の波形,(d)の波形をプロットし,比較のためCapの電圧[V(Cap)]も加えています.ホールド区間は最初にV(in)のピーク電圧を保持する区間を代表例にしています.

比較のためCapの波形も加えている.
(a)の電圧は,V(out)からR1を介した負帰還とダイオード(D1)を介した負帰還により,OPアンプ(U1)の非反転端子と反転端子はバーチャル・ショートになります.バーチャル・ショートなので,図2(a)の波形のように,(a)の電圧はinの電圧に応じて動きます.よって,ホールド区間でC1の電圧V(Cap)と等しくなりません.
(b)の電圧は,ホールド区間でD1がON,D2とD3がOFFなので,V(out)の電圧から「D1の順方向電圧+R1の電圧降下」を減じた電圧になります.OPアンプ(U2)はユニティ・ゲイン・バッファなので,V(out)の電圧はV(Cap)の電圧と同じです.よって図2(b)の波形のように,V(Cap)から「D1の順方向電圧+R1の電圧降下」を減じた電圧になり,ホールド区間でC1の電圧V(Cap)と等しくなりません.
(c)の電圧は,ホールド区間でD2とD3がOFFなので,R2を介してV(out)の電圧と等しくなります.OPアンプ(U2)は,ユニティ・ゲイン・バッファなので,Cの電圧はV(Cap)の電圧と等しくなります.これより,図2(c)の波形のように,D3の両端の電圧は同じ電圧になります.D3の両端の電圧差が無いので,ダイオードの逆方向の漏れ電流は無くなり,V(Cap)の電圧を長時間保持します.
(d)のinの電圧は,入力電圧のV(in)なので,図2(d)の波形のように,V(Cap)の電圧と等しくなりません.
このような検討と図2の波形プロットより,正解は(c)の電圧になります.