OPアンプの誤差が分かる場所


『LTspice Users Club』のWebサイトはこちら



■解答


(c)の発生源

 図2は,図1のOPアンプから見た差動信号と同相信号を図示しました.


図2 OPアンプに差動信号と同相信号を加えた回路

 図2の出力電圧は,「v1'-v2'」の電圧源と「v2'」の電圧源について重ね合わせの理を用いて計算すると,式1になります.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)

 ここでAは,OPアンプの差動ゲイン(オープン・ループ・ゲイン)で,ACが同相ゲインです.OPアンプは,反転端子と非反転端子間の電圧差を増幅するアンプですので,差動ゲインのAが高く,同相ゲインのACが低いほど特性が良いアンプになります.
 CMRは「C=A/AC」の関係があるので,式1の右辺第二項の「ACv'2」を差動ゲインのAとCMRのCを使って書き直すと式2になります.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)

 式2の右辺第一項の「-A(v1'-v2')」は,OPアンプとして欲しい特性を表し,右辺第二項の「Av2'/C」は誤差項になります.この誤差項をOPアンプの外に出し,等価的に,差動ゲインAとCMRのCを使って図2を書き直すと,等価回路は図3になります.


図3 誤差項をOPアンプの外に出した等価回路
「v2'/C」の誤差項は非反転端子に見える.

 確認のため,図3の出力電圧を机上計算して,式2と比べます.出力電圧は反転端子と非反転端子間の差電圧(vd)をOPアンプの差動ゲインで増幅した電圧なので,式3になります.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)

 反転端子と非反転端子間の差電圧(vd)は式4になります.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)

 式4を式3へ代入して整理すると式2と同じになるので,机上計算からも図2図3は同じになるのが分かります.以上の検討より,図1のOPアンプを図3の等価回路に置き換えると,「v2'/C」は(c)の発生源の位置に見えることになります.




トランジスタ技術 表紙

CQ出版社オフィシャルウェブサイトはこちらからどうぞ

CQ出版の雑誌・書籍のご購入は、ウェブショップで!


CQ出版社 新刊情報


近日発売

トランジスタ技術 2025年 7月号

ソニーの超小型コンピュータSpresense

POWER ELECTRONICSシリーズ

スイッチング電源[3]LLC共振コンバータの設計

Interface 2025年 7月号

プログラム改善ビフォーアフター[技100]

別冊CQ ham radio QEX Japan No.55

巻頭企画 八重洲無線 SCU-LAN10+αで作るパーフェクトなリモート環境

CQ ham radio 2025年 6月号

初夏の電波伝搬攻略ガイド

アナログ回路設計オンサイト&オンライン・セミナ