Pythonで信号処理 時系列データ解析編
Interface2021年3月号の特集は「Pythonで信号処理 時系列データ解析編」となります.特集では,時系列データの解析について,具体的な生体データを,Pythonで設計したディジタル・フィルタで,ノイズ除去や周波数解析を実践します.また,特設の「やり直しのための信号処理数学」では,周波数解析の基礎となるフーリエ変換やディジタル・フィルタ設計を解説します.
IoT時代と呼ばれて久しい今日このごろ,日本でも5Gが浸透し始め,大容量,低遅延,多接続がフルスペックで本格稼働するころには,トリリオン(Trilion)センサ時代(年間1 兆個のセンサを使用する社会)が到来すると予測されます.温度,湿度,気圧,照度などの環境情報や,ウェアラブル・デバイスによる生体信号をはじめ,多くのセンサの情報は,一度取得したらおしまいということはなく,経時的に収集されます.つまり,大抵のセンサ情報は時系列信号です.
Pythonでディジタル・フィルタを設計,適用して脳波データに混入したノイズの除去を行います.また,脳波データの周波数解析を行い,開眼時と閉眼時の周波数の違いを確認します.
特集では脳波,心電図,筋電図の生体信号の解析を具体例として,周波数解析やディジタル・フィルタといった,代表的な時系列信号解析の手法をPythonで実装する方法を紹介します.
脳波の測定には,本誌2017年1月号で製作した2チャネルのBLE生体計測基板を利用しました.データはBLE経由でノートPCに送信されます.
筆者自作の装置で実測した心電図データに,QRS検出と心拍変動解析(HRV:heartrate variability)を適用します.また,意図的に高調波を含むハム・ノイズを加えたデータを題材にノイズ除去についても解説します.
本章では筋電図を扱います.筆者が以前製作した測定装置と電極で筋電図を測定し,得られた波形から3種類の強度波形を算出します.さらに6項 目のパワー・スペクトルの統計値を算出して,周波数成分の変化を見てみます.
本章では,信号やシステムの周波数解析に用いられるフーリエ変換について解説します.フーリエ変換には,連続時間信号に適用される(1)フーリエ級数展開と(2)フーリエ変換(狭義),離散時間信号に適用される(3)離散時間フーリエ変換と(4)離散フーリエ変換(DFT)の4種があります.
線形代数に登場する基底変換やベクトルの内積について説明します.時系列信号の集合をベクトルと捉えると,DFTの計算などを違った目線で考えることができるようになります.また,直交性の判定など多次元信号処理にも役立ちます.
ディジタル・フィルタを設計する前に,まず,フィルタの特性を評価できるよう,解析方法を学んでいきます.振幅応答や位相応答,極と零点の配置から安定性やフィルタの大まかな振る舞いを理解する方法,線形位相特性などを解説していきます.
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インターフェース2020年10月号の特集は「AIチップ図鑑&実力大研究」となります.本特集では,付け足しAIが可能なAIスティックやAIチップ搭載ボードの解説を実験を交えて行います.また,約42種類のさまざまなAIスティックやボード,サーバを紹介した「AIチップ大図鑑」も読み応え十分です.さらに,3号連続の特別企画「ラズパイでPLC」も好評連載中です! |
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