キルヒホッフの法則と抵抗分圧



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■問題
電気回路 ― 基礎

平賀 公久 Kimihisa Hiraga

 図1は,抵抗(R1,R2,R3,R4)と電流源(I1)を使った回路です.「R1,R2=50Ω」,「R3.R4=100Ω」,「I1=1mA」とするとV3の電圧は40mVになります. この図1において,(a)~(d)の方程式で1つ間違えているものがあります.間違えているものはどれでしょうか.


図1 抵抗と電流源を使った回路
「R1,R2=50Ω」,「R3.R4=100Ω」,「I1=1mA」とするとV3の電圧は40mV

(a) (V1-V2)/50-0.001=0
(b) (V2-V1)/50+(V2-V3)/50+V2/100=0
(c) (V3-V2)/50+V3/100=0
(d) V2=(100/150)V3


■ヒント

 回路の電圧や電流を調べるとき,オームの法則やキルヒホッフの法則,抵抗分圧を使った回路方程式を用いて回路内の電流や電圧を表します.オームの法則とキルヒホッフの法則で,1,2,3の各接点に流れ込む電流の総和はゼロになります.また,抵抗の分圧回路はV2とV3の関係を示します.これらを詳しく調べると,どれが間違えているか分かります.

■解答


(d) V2=(100/150)V3

 (a)が1,(b)が2,(c)が3の各ノードに流れ込む電流の総和がゼロであることをオームの法則とキルヒホッフの法則で正しく示しています.(d)は,V2とV3の抵抗分圧の関係を示していますが,正しくは「V2=(150/100)V3」なので,(d)が間違いとなります.

■解説

●キルヒホッフの法則
 電気回路の電流と電圧を調べるとき,オームの法則やキルヒホッフの法則を使い,回路方程式を導きます.図2を用い,キルヒホッフの電流則と電圧則を解説すると,キルヒホッフの電流則は「回路内のある1つのノードに流れ込む電流の総和はゼロである」です.また,電圧則は「回路内の閉路において枝電圧の総和はゼロである」となります. 回路方程式は,回路内の電圧や電流,その方向を表し,これらを使って回路解析を行います.なお,これ以降,キルヒホッフの電流則を「KCL」,キルヒホッフの電圧則を「KVL」と記述します.


図2 キルヒホッフの電流則と電圧則

●回路方程式を使って値を求める
 まず,図1の1,2,3の各ノードの電流とV2,V3の電圧の関係について検討します.次に,検討した方程式を用いてV3の電圧の値を求め,求めた値とシミュレーションの値が一致すれば,回路方程式は正しいことになります.
 1のノードの電流は,0から1へ電流源(I1)が流れ込み,さらに1から2へ向かって流れ出します.この電流は等しいので,KCLより式1となります.これが問題の(a)です.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)

 2のノードの電流は,1から2へ流れ込む電流と,2から0と2から3へ流れ出す電流であり,KCLより式2となります.これが問題の(b)です.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)

 3のノードの電流は,2から3へ流れ込む電流と,3から0へ向かって流れ出す電流ですので,KCLより式3となります.これが問題の(c)です.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)

 2のノードの電圧をV2,また3のノードの電圧をV3とすれば,V3はV2の電圧を抵抗R2とR4で分圧した値となります.よって,V2の電圧は式4となります.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)

 式2は,回路全体の電流の流れを示しており,この式を使ってV3の電圧を求めます.式2の左辺第1項に式1を代入し,式2の第2項に式3を代入し,第3項に式4を代入すれば,式5となります.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)

 式5よりV3の電圧は,式6の40mVとなります.

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)

●LTspiceを使って値を求める
 図3は,図1をシミュレーションする回路です.電流源(I1)を0A~2mAの間で100μAのステップでスイープさせるコマンドとして「.dc I1 0 2m 100u」を入れました.「.meas DC res3 V(3) at=1m」は,I1が1mAのときのV(3)の電圧を変数res3に記録します.


図3 図1をシミュレーションする回路

 図4は,図3のシミュレーション結果です.I1をスイープしたときのV(3)の電圧をプロットしています.


図4 図2のシミュレーション結果

 「Ctrlキー+L」でログファイルを開くと「.meas文」の結果が参照できます.図5がログファイルの一部を切り出したものです.変数res3は0.04Vであり,式6と一致します.これより,回路方程式は正しいといえます.


図5 I1が1mAのときのV3の電圧を調べた結果
ログファイル中に「.meas文」の結果がある.

 以上,解説したように回路方程式は,オームの法則,キルヒホッフの法則,また,ここでは解説しませんでしたが,重ね合わせの理などを用います.得られた回路方程式を用い,直流電圧,電流の理論値などを調べ,回路設計を進めることになります.


■データ・ファイル

解説に使用しました,LTspiceの回路をダウンロードできます.
LTspice5_002.zip

●データ・ファイル内容
Simple_Resistive_Circuit.asc:図3の回路

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