コンテンツコード | DP42062 |
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著者 | 川田 章弘 |
発行元 | CQ出版社 |
価格(ライセンス料金) | 2,640円 |
仕様 | A5判 355ページ PDF 約22Mバイト |
発行日 | 2011/06/01 |
更新日 | 2011/07/07 |
制限 | ダウンロード制限: サービス停止まで |
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ライセンス条件 | ●本書は著作物であり,著作権法により保護されています.本書の一部,または全部を著作権者に断りなく,複製または改変し他人に譲渡すること,インターネットなどに公開することは法律により固く禁止されています.違反した場合は,民事上の制裁および刑事罰の対象となることがあります. ●本書は,CQ出版社から出版された,2009年8月1日 第2版発行の同タイトルの書籍をPDFファイルとしたものです.電子版制作の都合上,オリジナルの書籍と比べて,一部の書体が変更になっている場合があります.また,電子版という性格から,オリジナルの書籍と同一のプリント品質は保証できません.ご了承ください. ●予告なく,本サービス(Tech Village 書庫&販売)を一時休止または終了することがあります.サービス休止時やサービス終了後は,本コンテンツをダウンロードまたは閲覧できなくなります. |
解説
OPアンプはアナログ信号を扱うために欠かせない基本デバイスです.特定用途向けで種類が多いため,ユーザは目的のあったものを探し出し,メーカの推奨回路を参照して必要な機能や性能を実現するのが一般的な設計スタイルです.しかしOPアンプは繊細ですから,その性質を理解して使わないと,予想外のトラブルに見舞われます.
本書は,OPアンプの基礎知識から低オフセット型/高速型などの高性能OPアンプの使い方と評価法を解説するものです.付加価値の高い高性能アナログ回路の設計技術を身につけることができる一冊です.
目次
はじめに【成功のかぎ1】OPアンプ利用のコモンセンス
第1章 繊細なアナログICとの接し方
1-1 アナログとディジタルは二人で一つ
1-2 OPアンプの基本機能「信号増幅」の冥利
1-3 OPアンプの分類
1-4 OPアンプの癖を見破る
Column 単電源と両電源の違い
【成功のかぎ2】3種類のアンプを使いこなす
第2章 増幅技術の基礎を身につける
2-1 位相は反転するけれど高精度な「反転アンプ」
2-2 位相が反転せず使いやすいが精度がイマイチな「非反転アンプ」
2-3 微弱信号にパワーを加えて負荷を強力駆動する「ボルテージ・フォロワ」
Column OPアンプ回路は+端子と-端子を短絡して読む
【成功のかぎ3】種類と定数に込められた意味を理解して応用する
第3章 OPアンプ周辺部品の役割と値の理由
3-1 フィードバック部
3-2 バイアス部
3-3 入力部
3-4 入力部の詳細設計
3-5 出力部
3-6 実験で設計を確かめる
Column しゃ断周波数とは
Column OPアンプ活用のヒント
Column 両電源OPアンプの異常動作
【成功のかぎ4】OPアンプに付いて回る誤差要因「オフセット」への対応
第4章 直流増幅技術をマスタする
4-1 直流アンプの必要性
4-2 直流性能は両電源のほうが出しやすい
4-3 直流アンプの回路
4-4 直流アンプの泣き所「オフセット電圧」
4-5 オフセット電圧が生じる理由
4-6 出力オフセット電圧の要因
4-7 出力オフセット電圧を減らす方法
4-8 直流増幅が必要ない場合は素直に交流アンプを作る
Column ボリュームの接点に直流電流は禁物
【成功のかぎ5】微小信号に雑音を加えずに増幅する技術
第5章 低雑音増幅技術をマスタする
5-1 微小信号を増幅するには
5-2 雑音の周波数分布は三つの帯域に分類できる
5-3 雑音のいろいろとその対策
5-4 OPアンプ自体から生ている雑音
5-5 OPアンプ回路の雑音電圧の計算方法
5-6 低雑音アンプの設計例
Column 1/f雑音を含めた全実効雑音電圧の求め方
Appendix A 微小信号から大信号までの幅広い入力レベルへの対応
Appendix B 雑音レベルの算出術
5B-1 雑音の算出式
5B-2 雑音の合成の方法など
【成功のかぎ6】雑音や安定性に配慮して最適化する
第6章 周波数特性のコントロール
6-1 帯域を広げる方法
6-2 ノイズ・ゲインで上限周波数とゲインを個別にコントロール
6-3 上限周波数の上昇を抑制する方法
6-4 大振幅ではスルー・レートが上限周波数を支配することがある
Appendix OPアンプの出力電流を強化する方法
【成功のかぎ7】負荷に強く安定な高信頼性アンプを作る
第7章 発振対策と周辺部品の選び方
7-1 見つかりくいアンプの致命傷「発振」
7-2 発振の症状
7-3 安定性の設計
7-4 安定性を増して発振しにくいアンプに仕上げる
7-5 パスコンの配置と選び方
7-6 発振のチェック方法
Appendix A ループ・ゲインの測定方法
Appendix B OPアンプは低音でも発振しないようにできている
【成功のかぎ8】オフセット電圧/雑音電圧/バイアス電流を正しく評価する
第8章 低オフセットOPアンプの使い方と評価法
8-1 低オフセットOPアンプとは
8-2 使い方の基本
8-3 オフセットを除きながら増幅するチョッパ安定化型
8-4 重要な性能とその評価方法
【成功のかぎ9】入力換算雑音電圧と入力換算雑音電流を正しく評価する
第9章 低雑音OPアンプの使い方と評価法
9-1 低雑音OPアンプのいろいろ
9-2 使い方の基本
9-3 低域の雑音を正確に測定できる「ロックイン・アンプ」
9-4 入力換算雑音電圧密度の評価と分析
9-5 入力換算雑音電流密度の評価と分析
Column 高速OPアンプ LMH6702MAとOPA846IDの周波数特性とOIP3
【成功のかぎ10】雑音の中から微小信号を抽出して増幅する
第10章 差動アンプの使い方と評価法
10-1 差動アンプのふるまいと特性
10-2 インスツルメンテーション・アンプはコモン・モード・ノイズに強い
10-3 高域でのCMRR改善の方法
10-4 実際の差動アンプとインスツルメンテーション・アンプ
10-5 評価すべき特性と結果の分析
【成功のかぎ11】高圧回路でも安全で,安心して測定できる
第11章 アイソレーション・デバイスの使い方と評価法
11-1 どのような2点間も安全に計測
11-2 アイソレーション・アンプの使い方と評価法
11-3 ディジタル・アイソレータの使い方と評価法
【成功のかぎ12】発振しない低ひずみ/広帯域アンプの作り方
第12章 高速OPアンプの使い方と評価法
12-1 電流帰還型OPアンプを攻略する
12-2 OPアンプ入力部にある寄生容量を補償する
12-3 負荷容量による発振への対応
12-4 ゲインと位相の周波数特性を測る方法
12-5 ひずみの評価
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現在の電子回路に適した使い方を示している
プロが読んでも役に立つオペアンプの本というと、ディジタル回路が主流になる前に書かれたものが多く、高度なアナログ回路への応用などが記述されているが、現在の用途とはマッチしていないと思う。本書は、そういう意味で現在の電子回路に適したオペアンプの使い方が書かれている。ただし、アナログ回路について詳しくない読者にとっては、少し敷居が高いかもしれない。そういう読者には、オペアンプは二つの入力を常に等しくするように働くデバイスだということさえ理解していれば、本書を読み進められるとアドバイスしたい。
[2011/07/06][三つ星][神奈川県]