コンテンツコード | DP42041 |
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著者 | 松井 邦彦 |
発行元 | CQ出版社 |
価格(ライセンス料金) | 2,530円 |
仕様 | A5判 295ページ PDF 約15Mバイト |
発行日 | 2011/06/01 |
更新日 | 2011/07/07 |
制限 | ダウンロード制限: サービス停止まで |
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ライセンス条件 | ●本書は著作物であり,著作権法により保護されています.本書の一部,または全部を著作権者に断りなく,複製または改変し他人に譲渡すること,インターネットなどに公開することは法律により固く禁止されています.違反した場合は,民事上の制裁および刑事罰の対象となることがあります. ●本書は,CQ出版社から出版された,2010年8月15日 初版発行の同タイトルの書籍をPDFファイルとしたものです.電子版制作の都合上,オリジナルの書籍と比べて,一部の書体が変更になっている場合があります.また,電子版という性格から,オリジナルの書籍と同一のプリント品質は保証できません.ご了承ください. ●予告なく,本サービス(Tech Village 書庫&販売)を一時休止または終了することがあります.サービス休止時やサービス終了後は,本コンテンツをダウンロードまたは閲覧できなくなります. |
解説
A-Dコンバータは,コンピュータを使った制御やデータ収集に欠かせません.最近ではワンチップ・マイコンの中に集積されていることも多くなり,それほど意識せずに使っていると思います.しかし,高い精度が欲しい,多チャネルの情報を取り込みたい,もっと高速な信号を扱いたい…となると,扱いは急激に難しくなります.
本書では,A-Dコンバータを大きく3種類に分けて,使い方と動作原理を解説します.性能を引き出すために必要な周辺回路の考え方と,システムにしたとき必ず問題になるノイズ対策の方法を示します.信頼できるディジタル・データを得たい場合にお勧めの一冊です.
目次
第1章 いろいろなA-Dコンバータマイコン内蔵A-Dコンバータと専用ICの使い分け
1-1 ADコンバータ専用ICの近況と予想
1-2 マイコンに内蔵されたADコンバータの性能
1-3 ワンチップ・マイコンのADコンバータ活用例
Column 分解能と精度の関係
Column 非直線性誤差
Column ADコンバータの出力コード形式のいろいろ
第2章 高SNRのシステムを実現するノウハウ
アナログ回路のノイズ対策を実例で知る
2-1 パソコンや大型システムに繋ぐときは必ず絶縁する
2-2 アナログ回路はシールド・ケースに入れる
2-3 フィルタ回路で雑音を増幅しないように注意
2-4 電源ではコモン・モード・ノイズ対策を忘れずに
2-5 アナログ・ディジタル混在システムの電源設計
第3章 ΔΣ型A-Dコンバータの活用ノウハウ
24ビットまでの分解能がワンチップで得られフィルタ設計も楽
3-1 精度が必要ならまずΔΣ型を検討してみる
3-2 ΔΣ型の長所と短所
3-3 できるだけ高精度にAD変換するには
3-4 何気なく付けてしまう入力RCフィルタの値に要注意
3-5 精度を保つにはプリアンプに使う回路とOPアンプが重要
Column 雑音による影響は実効値を6〜6.6倍したピーク値で考える
Column スイッチト・キャパシタ回路
Column ADコンバータの分解能を高くしてロー・コスト化
Appendix ADコンバータのキャリブレーション
第4章 ΔΣ型A-Dコンバータのしくみ
高精度が得られるが高速応答が難しい理由
4-1 ΔΣ型ADコンバータのしくみ
4-2 なぜ1ビットで高分解能が可能か…SNRを上げる二つのテクニック
4-3 オーバーサンプリングとノイズ・シェーピングの効果を確認
4-4 ΔΣ変調器と並んで重要なディジタル・フィルタの働き
4-5 1Mspsを超えるΔΣ型ADコンバータのしくみ
Column ADコンバータの量子化雑音とSNR/分解能の関係
Column オーバーサンプリングによりアナログ・フィルタの負担が小さくなる
Column DAコンバータ出力とSINC関数
第5章 高精度計測に必要な基準電圧源
適切な品種を選ぶために動作原理を把握する
5-1 ADコンバータの精度を決める基準電圧源
5-2 入手しやすい汎用ツェナー・ダイオードの限界
5-3 温度係数が小さい温度補償型ツェナー・ダイオード
5-4 長期安定性の良い埋め込み型ツェナー・ダイオード
5-5 一番よく使われるICタイプの基準電圧源
Column リファレンスICの性能を引き出す実装方法
第6章 逐次比較型A-Dコンバータの使い方
分解能と速度のバランスがよくさまざまな用途に応用できる
6-1 逐次比較型ADコンバータの長所と短所
6-2 高精度が必要なら高めの基準電圧と差動入力で使う
6-3 雑音を除去するためのロー・パス・フィルタが必須
6-4 たくさんの信号をロー・コストにAD変換できる
Column ADコンバータ前のLPFはSNR改善のためにも必要
第7章 逐次比較型A-Dコンバータのしくみ
非直線性の発生原因とサンプル&ホールド回路の必要性を理解する
7-1 アナログ電圧をディジタル・データに変換するしくみ
7-2 逐次比較型で問題になりやすい非直線性誤差
7-3 変換開始からデータ取り込みまでの流れ
7-4 サンプル&ホールド・アンプの動作と必要性
7-5 サンプル&ホールド・アンプで生じる四つの誤差
Column もう一つの非直線性…積分非直線性誤差INL
Column サンプル&ホールド・アンプ専用ICの動作方式
Appendix 逐次比較型ADコンバータの精度を決めるDAコンバータのしくみ
第8章 アンチエイリアシング・フィルタの作り方
折り返し雑音を防ぐために必要な特性をどのように考えるか
8-1 アンチエイリアシング・フィルタの仕様の考え方
8-2 実用的なフィルタの設計例
8-3 低消費電力なパッシブ・フィルタの作り方
8-4 カットオフ周波数をディジタル設定できるロー・パス・フィルタ
Column LCシミュレーションに欠かせないFDNR回路
第9章 高速A-Dコンバータのしくみと使い方
10Msps以上の高速変換を行うときのICの選択と注意点
9-1 高速ADコンバータの代表的な変換方式
9-2 クロックにはジッタの少ない水晶発振モジュールを使用する
9-3 高分解能品の駆動には専用の差動出力ICを使う
9-4 数GHz以上の信号を扱うときの工夫
9-5 高速ADコンバータの特性評価
第10章 ディジタル・アイソレータ活用ノウハウ
電源ノイズの発生源を理解して効果的に対策する
10-1 ディジタル回路のノイズがアナログ回路に影響するのを防ぐには
10-2 コモン・モード・ノイズの影響を避けるにも絶縁が有効
10-3 ディジタル・アイソレータの動作原理
10-4 ディジタル・アイソレータICの使用例
10-5 電源に同期したクロックを使って電源ノイズを除去する
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A-D変換に関する雑学書
この本は、A-D変換に関するさまざまな知識が網羅された雑学書です。この分野に興味のある読者にとっては興味深い内容がちりばめられています。ただし、用語についての説明などが順を追って書かれているわけではないので、入門者にとってはやさしい本ではありません。A-D変換は精度と信頼性を追求するアナログ的な設計にするか、ディジタルに変換してソフトで修正するかが設計者にとって重要な選択になりますが、そのあたりについての解説が欲しかった。
[2011/06/28][三つ星][神奈川県]