Arm Cortex-M23/M33プロセッサ・システム開発ガイド【第3章】
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■第3章 Cortex-M23とCortex-M33プロセッサの技術概要■
3.1 Cortex-M23とCortex-M33プロセッサの設計目標
Arm Cortex-Mプロセッサは,マイクロコントローラや低消費電力の特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)で広く使用されています.多くの点で,Cortex-Mプロセッサの設計は,これらのアプリケーションに最適化されています.これは,前世代のCortex-Mプロセッサで実証されており,これらの特定の要件にうまく対応しています.Internet-of-Things(IoT)アプリケーションの人気の高まりに伴い,追加の要件,特にプロセッサのセキュリティ機能が不可欠になってきています.
Cortex-M23とCortex-M33プロセッサの設計目標は以下です.
- 低消費電力:多くのIoTアプリケーションは電池駆動だが,中にはエナジー・ハーベスティング(環境発電)を使用して電力を供給するものもある.また,プロセッサは,スリープ・モードなどの低消費電力機能を幅広くサポートする必要がある
- 小シリコン面積/少論理ゲート数:プロセッサのサイズが小さいことが望ましいのは,チップのコスト削減に役立つからである.例えば,ミックスド・シグナル回路では,トランジスタの形状の性質上,少ないゲート数であることが必要なアプリケーションもある
- 性能:マイクロコントローラにおけるデータ処理への要求は年々増加している.例えば,オーディオ処理に使用されるものもある.また,IoTアプリケーションで使用されるプロセッサは,複雑な通信プロトコルを実行する必要があるかもしれない
- リアルタイム機能:これには,低割り込みレイテンシとソフトウェアの実行動作における厳密な実行時間の保証が含まれる.例えば,高速なモータ制御アプリケーションでは,割り込みへの応答が遅れると,速度/位置制御の精度が低下し,システムのエネルギー効率が低下し,ノイズや振動が増加し,最悪の場合,安全性に影響を与える可能性があるため,低い割り込みレイテンシが不可欠である
- 使いやすさ:マイクロコントローラは,学生や趣味の人などの経験の浅いユーザを含め,さまざまなソフトウェア開発者によって使用されている.多くのプロジェクトでは,市場からの要請により,マイクロコントローラやプロセッサのアーキテクチャを研究するのに長時間かけることができないため,使いやすさは専門家にとっても重要である
- セキュリティ:多くのマイクロコントローラがIoTアプリケーションで使用されているため,セキュリティは,非常に重要な要件となっている.そのため,TrustZoneセキュリティ拡張機能がArmv8-Mアーキテクチャに搭載されている
- デバッグ機能:ソフトウェアの複雑化に伴い,アプリケーションの複雑なソフトウェアに起因する問題で,デバッグが難しくなっているため,高度なプロセッサ・デバッグ機能が必要である
- 柔軟性:チップ設計が異なると,システム設計の要件が大きく異なるため,プロセッサ設計はそれぞれの要件に対応できなければならない.例えば,あるアプリケーションでは,必要不可欠な機能であっても,別のアプリケーションでは低消費電力化やシリコン面積の削減を可能にするために削除する必要がある場合がある.このように,Cortex-M23とCortex-M33プロセッサは,高度に構成可能なように設計されている
- システム・レベルでの容易な統合:Cortex-M23とCortex-M33プロセッサは,チップ設計者がシステム・レベルの設計で,容易にプロセッサを統合できるように,さまざまなインターフェース・レベルの機能と構成オプションを備えるように設計されている
- スケーラビリティ(拡張性):Cortex-Mプロセッサは,シングル・コアとマルチコア設計で使用される.スケーラビリティの要件を満たすために,プロセッサの設計にはマルチコアシステムの要件をサポートする多くの機能がある
- ソフトウェアの再利用性:ソフトウェア開発コストを削減するために,Cortex-M23とCortex-M33プロセッサは,以前のCortex-M用に設計されたソフトウェアのほとんどを再利用できるように設計されている
- 品質:プロセッサ設計は,複数の検証手法を用いて広範囲にテストされている
多くのエンジニアリング・プロジェクトと同様に,多くの目的の間にはトレードオフが存在します.例えば,性能とエネルギー効率,使いやすさとセキュリティなどです.Cortex-M23とCortex-M33プロセッサは,ほとんどのマイクロコントローラ設計に1 番最適なものを目標としています.
■本書を取り巻く市場■
Arm Cortex-M23/M33は,これから10年間,汎用マイコン(MCU)のセキュリティ機能(TrustZone)を搭載したコアとして利用されます.Arm Cortex-M23やM33を搭載するマイコンの市場は,自動車,家電,IoTデバイスなど,さまざまな分野で成長を続けています.特に自動車産業の電動化や自動運転の進展により,これらのマイコンの需要が拡大しています. |
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■本書の読者層■
本書は,Arm Cortex-M23/M33プロセッサに関心のあるハードウェア・エンジニアとソフトウェア・エンジニアの方を対象にしています.
組み込み機器開発者や組み込みソフトウェア技術者,大学の研究者,さらにマイコンの知識のある方が,Cortex-M23/M33プロセッサの概要を調べるための内容となっています.
組み込み機器開発者や組み込みソフトウェア技術者,大学の研究者,さらにマイコンの知識のある方が,Cortex-M23/M33プロセッサの概要を調べるための内容となっています.
■本書の内容■
本書は,Armv8-MアーキテクチャとCortex-M23/M33プロセッサで利用可能な機能に重点を置いています.
内容は,Armv8-Mアーキテクチャの入門,命令セットの概要,命令セットの使用例,プログラマーズ・モデル,ハードウェアの特徴,割り込み処理,OSサポート,TrustZoneテクノロジとセキュアなソフトウェア開発,このプロセッサのデバッグ機能など,多くの機能を解説しています.
さらに,TrustZoneテクノロジについても詳しく説明しており,IoTアプリケーションのセキュリティにTrustZoneテクノロジがどのように役立つか,その動作,このテクノロジがプロセッサのハードウェア(メモリ・アーキテクチャ,割り込み処理など)に与える影響,安全なソフトウェアを作成する際のその他のさまざまな考慮事項などについても説明しています.
内容は,Armv8-Mアーキテクチャの入門,命令セットの概要,命令セットの使用例,プログラマーズ・モデル,ハードウェアの特徴,割り込み処理,OSサポート,TrustZoneテクノロジとセキュアなソフトウェア開発,このプロセッサのデバッグ機能など,多くの機能を解説しています.
さらに,TrustZoneテクノロジについても詳しく説明しており,IoTアプリケーションのセキュリティにTrustZoneテクノロジがどのように役立つか,その動作,このテクノロジがプロセッサのハードウェア(メモリ・アーキテクチャ,割り込み処理など)に与える影響,安全なソフトウェアを作成する際のその他のさまざまな考慮事項などについても説明しています.
■本書で理解できるようになること■
多くの例を使用してCortex-M23/M33プロセッサ用のソフトウェアを作成する方法を解説して,組み込みソフトウェア開発者がArmv8-Mアーキテクチャを理解できるようになります.
■本書の主な特徴■
- Cortex-M23とCortex-M33プロセッサに実装されているArmv8-Mアーキテクチャとその機能に関する最初の書籍です
- TrustZoneテクノロジーを詳細に説明します
- Cortex-M23/M33プロセッサ用のソフトウェアを作成する方法を示す例が含まれています
- 基本知識を前提としたノウハウ集ではなく,これから初めてCortex-M23/M33ベースでマイクロコントローラのソフトウェアを開発するプログラマに役立ちます
■目次・章立て■
第 1章 序章
第 2章 Cortex-Mプログラミングを始める
第 3章 Cortex-M23とCortex-M33プロセッサの技術概要
第 4章 アーキテクチャ
第 5章 命令セット
第 6章 メモリ・システム
第 7章 メモリ・システムのTrustZoneサポート
第 8章 例外と割り込み-アーキテクチャの概要
第 9章 例外と割り込みの管理
第10章 低消費電力とシステム制御機能
第11章 OSサポート機能
第12章 メモリ保護ユニット(MPU)
第13章 フォールト例外とフォールト処理
第14章 Cortex-M33プロセッサの浮動小数点ユニット(FPU)
第15章 コプロセッサ・インターフェースとArmカスタム命令
第16章 デバッグとトレース機能の紹介
第17章 ソフトウェア開発
第18章 セキュアなソフトウェア開発
第19章 Cortex-M33プロセッサでのディジタル信号処理
第20章 Arm CMSIS-DSPライブラリの使用
第21章 高度なトピック
第22章 IoTセキュリティとPSA Certifiedフレームワークの紹介
サポート・ページ Appendixや参考・引用*文献のリンク・ページ
第 2章 Cortex-Mプログラミングを始める
第 3章 Cortex-M23とCortex-M33プロセッサの技術概要
第 4章 アーキテクチャ
第 5章 命令セット
第 6章 メモリ・システム
第 7章 メモリ・システムのTrustZoneサポート
第 8章 例外と割り込み-アーキテクチャの概要
第 9章 例外と割り込みの管理
第10章 低消費電力とシステム制御機能
第11章 OSサポート機能
第12章 メモリ保護ユニット(MPU)
第13章 フォールト例外とフォールト処理
第14章 Cortex-M33プロセッサの浮動小数点ユニット(FPU)
第15章 コプロセッサ・インターフェースとArmカスタム命令
第16章 デバッグとトレース機能の紹介
第17章 ソフトウェア開発
第18章 セキュアなソフトウェア開発
第19章 Cortex-M33プロセッサでのディジタル信号処理
第20章 Arm CMSIS-DSPライブラリの使用
第21章 高度なトピック
第22章 IoTセキュリティとPSA Certifiedフレームワークの紹介
サポート・ページ Appendixや参考・引用*文献のリンク・ページ
■本書詳細■
判型/ページ数:B5判/744ページ 定価:8,800円(本体8,000円) 発行:2024年11月1日 著者:Joseph Yiu 翻訳:五月女 哲夫 ISBN:978-4-7898-3648-7 ◎購入方法◎ CQ出版WebShop FAX/E-mail 購入申込書 amazon |
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