Interface 2018年6月号『ちゃんとはじめる学習コンピュータ』


■特集案内

※画像をクリックしてください.さらに詳細なInterface2018年6月号 目次をご覧いただけます

 2018年6月号は,春のフレッシャーズ特集として,「ちゃんとはじめる学習コンピュータ[事典付き]」と特別企画「ウェアラブルのための組み込みAI生体計測の研究」の二本立となります.特集では,Raspberry Piをはじめ,ArduinoやMbed,micro:bitなど,ちゃんとはじめられる学習ボード・コンピュータを解説します.特別企画では,組み込み人工知能で広がる世界を紹介し,マイコンでも動かせる軽量人工知能アルゴリズムなどを解説します.



 こういう人はコンピュータをちゃんと知ってた方がいい.いいものを短時間で作らないといけない『先輩』,これから腕ひとつで生きていかないといけない『新人』,すじのいいコンピュータを教えられないといけない『先生』,超コンピュータ時代を生きていくことになる『学生・子ども』



 Arduinoは,開発環境をオープンソース・ソフトウェアとして公開するだけでなく,マイコン・ボードの回路図やパターンなどの設計情報をオープンソース・ハードウェアとして公開しているプロジェクトです.
 つまり開発環境はそのままコピーでき,マイコン・ボードも公開された設計情報から自作してよいというものです.そのため,Arduino純正のボードだけでなく,互換ボードが大量に作られています.



 micro:bitは子供の教育用に工夫が凝らされた,小型,安価なマイコン・ボードです.もともと英国で教育用マイコンとして開発されたため,プログラム開発環境が充実しています.特に,プログラミング初心者向けのブロック・エディタやMicroPythonが特徴的です.C++を使ってArm Mbedプログラミングにも対応しています.



 ラズベリー・パイ(Raspberry Pi)は,1,000円台から入手できる定番のLinux コンピュータ・ボードです.ここでは,この定番ボードをOS の学習に使います.
 具体的には,サイズが100Kバイト程度とコンパクトなサイズのオープンソース・リアルタイムOSを,ラズベリー・パイ3 で動かせるようにします.Linuxなどと比べると大変シンプルなので,OSを学ぶには良いと思います.



 人工知能はGPUを搭載した高性能なマシンだけでなく,小型コンピュータでも利用できます.本誌でもラズベリー・パイなどの小型コンピュータを使った画像や声の認識,文字の生成,データの仕分けなどの事例が紹介されてきました.  これだけでも便利で革新的ではありますが,マイコン上で動作させて,さらに小型化,低消費電力化することができれば,ますます応用の可能性が広がります.



 表1に人工知能の主なアルゴリズムと演算量について検討してみました.なお,表1に記載のアルゴリズムが組み込みマイコン上で実行できたとして,どのような価値があるかまでは考慮していません.
 学習と予測に分けてみると,一般に学習は評価値が小さくなるよう反復計算を行うため演算量が多く,実装は困難です.しかし予測であれば計算量が見積もれるため,小規模ネットワークであれば,ラズベリー・パイの画像認識の例と同様,学習済みモデルを使用することによってマイコン上で実行可能であると考えられるものが多々あります.




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